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「カップボードとパントリー、両方作りたいけど、本当に両方必要なんでしょうか」
間取りの打ち合わせで、こう聞かれることがよくあります。ただ実際にお話を伺っていくと、多くの方が誤解しているポイントがあります。それは、カップボードとパントリーは「どちらか一方を選ぶもの」ではなく、「カップボードは基本的に必ず作るもの」で「パントリーはその上に追加できるかどうか」という関係だということです。
10年間プランナーをしてきた立場から、この2つの収納の関係性を整理し、「パントリーを追加すべきかどうか」を判断する基準をお伝えします。
実際の間取り相談では、雑誌やSNSで見た「憧れのパントリー」と、限られた床面積の現実との間で悩む方が非常に多いです。結果として「パントリーを諦めてカップボードだけにするのは負けた気がする」という感情的な部分も絡んでくるのですが、実務の視点から見ると、優先順位ははっきりしています。この記事を読めば、その判断軸がクリアになるはずです。
📌 この記事はこんな人向けです
- カップボードとパントリー、両方必要か迷っている
- パントリーを作るスペースがなく、諦めるべきか悩んでいる
- カップボードとパントリーの役割の違いがよく分からない
前提の整理:カップボードは「基本装備」、パントリーは「追加収納」
まず大前提として押さえておきたいのは、カップボードとパントリーは同じ土俵で比較するものではないということです。カップボードは、食器・カトラリー・調理家電・ゴミ箱など、キッチンで毎日使う物を収める場所として、ほぼすべてのキッチンに設置されます。一方パントリーは、食品ストックや使用頻度の低い調理器具、日用品のストックなどをまとめて収納する、いわば「プラスアルファ」の収納スペースです。
つまり実際の悩みは「カップボードかパントリーか」ではなく、「カップボードだけで足りるか、それともパントリーを追加した方がいいか」という、一方向の判断になります。この前提を整理しておくと、迷いがかなり整理しやすくなります。
💡 2つの収納の役割の違い
- カップボード:食器・カトラリー・調理家電・ゴミ箱など、日常的に使う物の収納(基本装備)
- パントリー:食品ストック・使用頻度の低い物・日用品ストックの収納(追加収納)
カップボードだけで足りるかどうかの判断基準
パントリーを追加するかどうかを考える前に、まずはカップボードだけで本当に足りないのかを確認しましょう。次のポイントに当てはまる方は、カップボードだけでも十分やっていけるケースが多いです。
- 週に何度も買い物に行き、食材のストックをあまり持たないタイプ
- 家族の人数が少なく、調理家電の数も最小限
- カップボードの幅を1800mm以上確保できる予定がある
逆に、次のような状況であれば、カップボードだけでは手狭になる可能性が高く、パントリーの検討価値が上がります。
⚠️ パントリー追加を検討したいサイン
まとめ買いをする習慣がある
家族の人数が多く、ストック品の量が多い
ホットプレートや圧力鍋など、使用頻度の低い調理家電が複数ある
カップボードの幅が1600mm以下で確保できるスペースに制約がある
パントリーが作れない・厳しい場合の代替策
間取りの都合上、どうしてもパントリー用のスペースを確保できないケースも珍しくありません。その場合、カップボード側で対応する方法がいくつかあります。
①カップボードの幅を広げる
可能であれば、カップボードの幅を1800mm以上、余裕があれば2100mm以上に広げることで、パントリーがなくてもかなりの収納量を確保できます。以前お伝えした通り、幅1800mmであればゴミ箱・炊飯器・引き出し収納をバランスよく配置できます。
②吊り戸棚を活用する
カップボードの上部に吊り戸棚を設けることで、使用頻度の低い物やストック品の置き場を確保できます。パントリーの完全な代替にはなりませんが、収納量の底上げにはなります。
③リビング側のカウンター収納を活用する
対面キッチンであれば、リビング側のカウンター下に収納を設けることで、ストック品や日用品の置き場を増やせます。
実際の判断フロー:3つの質問で考える
ここまでの内容を踏まえて、実際に打ち合わせの現場で使っている簡単な判断フローを紹介します。次の3つの質問に順番に答えてみてください。
💡 パントリー要否の判断フロー
- 質問1:カップボードの幅を1800mm以上確保できそうか? → できるなら、まずそちらを優先
- 質問2:まとめ買いの習慣や、家族の人数から見てストック量が多いか? → 多いなら、パントリーの検討価値あり
- 質問3:パントリーを設けても、通路幅や他の生活動線に無理が出ないか? → 無理が出るなら、吊り戸棚やカウンター収納での代替を検討
この3つの質問に沿って考えると、「なんとなく憧れがあるから」という理由だけでパントリーを優先してしまう失敗を避けやすくなります。
現場でよくある2つのパターン
実際の相談現場では、大きく分けて2つのパターンに分かれることが多いです。
パターン①:カップボード幅を十分に確保できたご家庭
キッチンスペースに余裕があり、カップボードの幅を1800mm以上確保できたご家庭では、パントリーがなくても「特に不便を感じていない」という声をよく聞きます。ゴミ箱・炊飯器・引き出し収納がバランスよく配置できていれば、日々のストック管理も十分にこなせるケースがほとんどです。
パターン②:カップボード幅が制約され、かつストックが多いご家庭
一方で、間取り上カップボードの幅が1600mm前後に制限され、かつまとめ買いの習慣があるご家庭では、住み始めてから「収納が足りない」という後悔の声が出やすくなります。このパターンに当てはまりそうな場合は、多少無理をしてでもパントリーを検討する価値があります。
ご自身がどちらのパターンに近いかをイメージしながら、次の判断フローを参考にしてみてください。
「カップボードを小さくしてパントリーに回す」という判断はアリか
逆に「パントリーを優先して、カップボードの幅を削る」という判断は、正直あまりおすすめしていません。理由は、カップボードは毎日何度も開け閉めする「動線の中心」にある収納だからです。ここが窮屈になると、日々の使い勝手にダイレクトに響きます。
一方パントリーは、頻度で言えば1日に数回程度の出入りで済むことが多く、多少奥まった場所にあっても許容されやすい収納です。限られたスペースを振り分けるなら、まずカップボードに十分な幅を確保し、余ったスペースでパントリーを検討するという順番が、結果的に失敗の少ない考え方です。
カップボード・パントリーそれぞれの詳しい選び方
ここまでで優先順位の考え方は整理できたと思いますが、実際に計画を進める際は、それぞれの収納についてもう少し具体的な情報が必要になります。
カップボードについては、幅の決め方一つで収納力が大きく変わります。ゴミ箱・炊飯器・引き出しをどう配分するかによって、1600mmでは窮屈でも1800mmならちょうど良くなる、というケースは実際によくあります。奥行きや扉のタイプ(引き出しか開き扉か)、天板の素材選びなど、決めるべきポイントは意外と多いので、後悔しないためには事前に一通り確認しておくことをおすすめします。
パントリーを追加する場合も、なんとなくの畳数で決めるのではなく、棚の奥行きや通路幅を積み上げて必要なサイズを割り出すことが大切です。またパントリーを設けた後は、中身の配置ルール(ゾーニング)や、収納グッズの選び方によって使い勝手が大きく変わります。この点は、パントリー単体の記事でより詳しく解説しています。
プランナーKの本音:「カップボード優先、パントリーは余力で」が基本
🙋 現役プランナーとして正直に言うと……
この手の相談を受けるとき、私が必ずお伝えしているのはシンプルです。
「まずカップボードに十分な幅を確保してください。パントリーは、その上で余力があれば追加する、くらいの位置づけで考えて大丈夫です」
パントリーは憧れの収納として人気がありますが、無理に作って通路が狭くなったり、カップボードが窮屈になったりしては本末転倒です。逆にカップボードさえしっかり確保できていれば、パントリーがなくても十分快適に暮らせているご家庭はたくさんあります。
まとめ:優先順位の結論
- 📦 カップボードは基本装備 → ほぼすべてのキッチンに必要
- ➕ パントリーは追加収納 → カップボードだけで足りない場合の選択肢
- ⚠️ パントリーが作れない場合 → カップボードの幅を広げる、吊り戸棚・カウンター収納で補う
- 🚫 カップボードを削ってパントリーを優先 → 基本的におすすめしない
- 🙋 迷ったら → まずカップボードに十分な幅を確保する
カップボードとパントリー、どちらも大切な収納ですが、優先順位をつけるなら答えはシンプルです。まずは毎日使うカップボードをしっかり確保し、その上で余力があればパントリーを検討する。この順番で考えると、限られたスペースでも失敗の少ない収納計画が立てられます。
ショールームで実物を確認してから決めましょう
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